「翔んで埼玉」と太永浩さん【調査会NEWS3024】(R01.7.7)

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 荒木和博
 昨晩ソウルから帰ってきました。今回は韓国で『平壌3階書記室の暗号』(太永浩・元北朝鮮駐英公使著)を読み終えました。最近文藝春秋から訳書が出ているのでそちらをお読みになった方も多いかも知れません。私は昨年ソウルで買って、結構分厚い本(500ページ以上)だったのでずっと本棚に置きっぱなしになっていたのですが、先日著者が来日されて講演を聞いたので、この機会にと思って読み始めました。「そうか、あのとき北朝鮮はこうだったのか」ということの連続でした。もっと早くに読んでおけば良かったと思いました。
 内容については機会をみて順次紹介していきたいと思いますが、一つ感じたのは、「首が飛ぶ」というのが北朝鮮では本当に首が飛んでしまうということ。日本なら懲戒解雇が北朝鮮だと銃殺、依願退職が収容所送りという感覚でしょうか。太永浩さんの親族や元同僚でもその対象となった人が多数出てきます。それが「よくあること」という感覚で書かれているのがすごい。
 それより少し軽いのが平壌から地方への「追放」。追放だとほとんど平壌には戻れませんが、運が良ければ戻れるのが「疎開」だそうです。これは平壌と地方に極端な格差があるから処罰になるわけで、日本とは全く感覚が違います。もともと朝鮮半島は中央集権の歴史で、韓国もソウル首都圏に政治文化経済が集中していますが、北朝鮮はそれに数十倍のバイアスをかけたような感じです。
 さて、昨日金浦から羽田に向かう飛行機の機内サービスの映画で「翔んで埼玉」(武内英樹監督)を観ました。実は劇場上映のときに一度観ているのですが、「馬鹿馬鹿しい」と思いながらつい観てしまう映画です。関東地方以外の人が観て意味が分かるのかと思う内容なのに結構全国的にヒットしたようです。
 観終わったらちょうど羽田に着きました。そして帰り道、ふと「翔んで埼玉」に出てくる東京と埼玉の差というのは現実の北朝鮮の平壌と地方の感覚なのではないかと思ったのです。実際映画で埼玉県民が東京に入るのに通行手形が必要なことになっているのと同様、地方の人間が平壌に入るのはかなり面倒な許可が必要です。もちろん自由に平壌に引っ越すことなどできません。
 太永浩さんがあの映画を観たらどう思うか分かりませんが、「翔んで埼玉」が現実化したのが北朝鮮だとしたら(実際にはもっとひどいわけですが)、出てくる人間は皆役者ということになります。役者は撮影が終われば普通の生活に戻れますが、北朝鮮の人は一生続けなければなりません。それこそが悲劇とも言えるでしょう。
———————————————- 最新の北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧(更新に伴い場所を移動しました) araki.way-nifty.com/araki/2019/06/post-6cc9b5.html
着岸漂流一覧と失踪関連地点マップ drive.google.com/open?id=1Nsd5Xf9dqDa6AsYv5_4VspEFmeNh95qS&usp=sharing ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ―――――――――――――――――――――――――― <特定失踪者データ> ◎氏名:和田 佑介 ◎よみかた:わだ ゆうすけ ◎生年月日:昭和52(1977)年1月30日 ◎当時の年齢:25歳 ◎失踪年月日:平成14(2002)年5月7日 ◎特徴:血液型O型 身長172センチ位 体重80キロ 体格は良い 手先が器用 タバコは1日1箱程度 紫色の袋をいつもものいれとして持ち歩いていた。 酒はビール程度。 ◎当時の身分:会社員 ◎最終失踪関連地点:広島県広島市 ◎当時の居住地:広島県広島市 ◎失踪の状況:2月から広島市のアパートで一人住まいをしていて、学校、勤め先を休んだことはなかった。5月6日、専門学校の同級生の結婚式に出席して実家島根から広島へ1時間半かけて帰り、母親が電話で本人と通話した。ところが7日午後、職場から実家に「無断欠勤している」と連絡。母親が部屋を調べると、電灯がついてパソコンが広げてあり、湯沸かしポットもそのままで、普通の生活の様子。携帯電話、銀行カード、ガソリンカード、免許証、タバコ入れなどは持って出た模様。車もなかった。7日から8日にかけて、有料道路の通行料金やガソリンをカードで支払った形跡があるが、9日以降はない。 ////////////////////////////////////////////////// <調査会・特定失踪者家族会役員の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等> ※事前申込み・参加費等についてはお問い合わせ先にご連絡下さい。
★7月17日(水)14:00「アニメ『めぐみ』上映会」(拉致問題対策本部・北海道庁・札幌市・救う会北海道主催) ・札幌駅前地下広場(地下鉄札幌駅と大通り駅をつなぐ地下通路のオープンスペース) ・調査会代表荒木・理事川田が参加 ・問合せ 北海道庁国際課(道庁代表番号 011-231-4111) ※イベント自体は10:30に開会され14:00までは映画が繰り返し上映されます。
★9月8日(日) 14:00「中村三奈子さんをさがす会」集会(同会主催) ・アオーレ長岡(長岡駅徒歩3分) ・特定失踪者家族会中村クニ幹事・調査会代表荒木が参加 ・問合せ:中村三奈子さんをさがす会 090-4279-4724
★11月9日(土)「拉致問題講演会」(群馬県・救う会群馬他主催) ・館林市三の丸芸術ホール(館林市役所前バス停すぐ 館林市城町1-2 0276-75-3030) ・調査会代表荒木が参加 ・問合せ 群馬県地域福祉推進室(027-226-2518)
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