北朝鮮漁船の衝突事件について【調査会NEWS3098】(R01.10.13)

【調査会NEWS3098】(R01.10.13) 

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<北朝鮮漁船の衝突事件について>

 特定失踪者問題調査会顧問 一色正春(元海上保安官)

  まず、公海で船舶が衝突した場合における管轄権について理解をしておく必要がありますが、その前の大前提で、領海以外は原則として公海であり、接続水域や排他的経済水域(EEZ)は例外的に一部の権利のみが保障されているということを認識いただいたうえで話を進めてまいります。

 今回の衝突は我が国EEZで起こった事件であるため外国船に乗り組んでいる外国人(今回の場合は北朝鮮人)に対しては、漁業その他経済的な権益に関するものを除き基本的に我が国の管轄権はありません。現在の国際法の通説では公海上で起こった衝突事件の管轄は、その船の船籍の国が有する(旗国主義)とされています。つまり今回、単なる衝突事件だけに絞ってみれば我が国の管轄権は北朝鮮漁船員には及ばず、北朝鮮国家が彼らを裁くという建前になりますが、その先は言うまでもないでしょう。一方で、我が国の水産庁の船に対しては日本国海上保安庁が捜査を行い、おそらく業務上過失往来危険で書類送検されるでしょう。余程のことがなければ、不起訴になるはずですが、いろいろと取り調べを受け衝突時のみならずその前後のことは詳しく記録されるはずです。

 このように、我が国の船員だけが取り調べを受けるなど不利益を被るのに対して、北朝鮮の船員は何のお咎めもないというのは不公平で「正直者は馬鹿を見る」と思われる方が大半だと思います。では我が国の官憲は北朝鮮船員に対しては全く手出しができなかったのかというとそうではありません。違法操業は現行犯でないと検挙できないという認識の人が少なくないようですが、EEZ漁業法にはそんなことは一言も書いておりません。ただ、犯罪の立証が難しいため実務上好まれないと言うだけの話で、実際に許可された以上の魚類を船に積んでいたり、日誌に虚偽の記載をしたりしたケースで検挙した例は枚挙に暇がありません

 今回の場合は犯罪の重要な証拠である漁船や漁具等が沈んでしまったため、通常の違法操業として立件するのは難しいですが、水産庁の船が追跡しているのですから、その映像を証拠としてEEZ漁業法の立検忌避(漁業監督官の検査を忌避する罪)で検挙することは可能であったと思われます。また、我が国の刑法は基本的に俗地主義ですので相手船には及びませんが、かつて、パナマ船籍に乗り組む日本人船員が公海上でフィリピン人船員に殺害された事件で我が国に管轄権がないためパナマの裁判所で無罪判決が下された事例があり、それを受けて刑法の中でも特に悪質な殺人等の罪状には俗人主義を採用するよう刑法が改正されたので、多少無理筋ではあるものの故意に衝突させたのであれば刑法の殺人未遂の疑いが生じるわけですから日本まで被疑者を引っ張ってくることは、その後不起訴となったとしても何ら問題ありません。

 要はやる気の問題で、面倒なことが嫌いな役人が無罪放免を提案して、何もわからない政治家が丸め込まれたというのが真相ではないかと私は思います。なにしろ役人に仕事をしない言い訳をさせれば天下一品ですから。

 物理的な話をすれば、朝鮮戦争当時の韓国が我が国の漁船を300隻以上拿捕したことを考えると、現在の我が国にできない訳がありません。水産庁の船が少ないから云々という言い訳も、かつて小笠原珊瑚強奪事件の時に私が提案した方法を応用すれば(https://blogos.com/article/102216/)十分に対応可能であるかと思います。

 なお映像は非公開から公開に方針転換したようなので、公開を待ちたいと思いますが、おそらく公開すべきではない映像をカットした編集されたものになると思います。政府が公開すべきでないと考える理由を想像すると

1 相手船が違法操業を行っていたと思われる様子が撮影されている

2 日本国民が見れば激怒する内容が含まれている

3 水産庁の船に過失がある

4 我が国の取り締まりの弱点が暴露される

となりますが、3と4であるならば理解しますが、1と2であるならば論外です。

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最新の北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧(更新に伴い場所を移動しました) 

http://araki.way-nifty.com/araki/2019/10/post-cb24fe.html

着岸漂流一覧と失踪関連地点マップ

https://drive.google.com/open?id=1Nsd5Xf9dqDa6AsYv5_4VspEFmeNh95qS&usp=sharing

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<調査会・特定失踪者家族会役員の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等> 

※事前申込み・参加費等についてはお問い合わせ先にご連絡下さい。 

★11月8日(金)18:30 「その後」を考える集い 11(調査会主催)

・UAゼンセン会館(千代田区九段南4-8-1 市ケ谷駅徒歩3分。地下鉄2番出口を出て直ぐ右に入り30メートル)

参加者 調査会役員 他

問合せ 調査会

★11月9日(土)13:30「拉致問題講演会」(群馬県・救う会群馬他主催)

・館林市三の丸芸術ホール(館林市役所前バス停すぐ 館林市城町1-2   0276-75-3030)

・調査会代表荒木が参加

・問合せ 群馬県地域福祉推進室(027-226-2518)

★12月7日(土) 13:00「みやこ町人権のつどい」(みやこ町主催)

・サン・グレートみやこ(みやこ町役場斜向かい 福岡県みやこ町勝山黒田86-1 0930-32-5540)

・調査会代表荒木が参加

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