滝事件(日本における外事事件の歴史10)【調査会NEWS3466】(R3.7.11)

【調査会NEWS3466】(R3.7.11) ※このメールには返信しないで下さい。お問い合わせ等は代表荒木のアドレスkumoha551●mac.com(●を半角の@に変える)までお願いします。 ―――――――――――――――――――――― <滝事件(日本における外事事件の歴史10)>
調査会特別調査班
 この事件は、元在日だった男性が終戦後に北朝鮮に帰国していたところ情報機関に獲得され、スパイとしての教育や訓練を受けた後、先に日本国内に潜伏している工作員への連絡も兼ねて石川県下から密入国した矢先、移動中の列車内で職務質問を受けて検挙されたという事件です。当時の報道記事が見つかっていないため、東京法令出版の『戦後の外事事件』・恵谷治氏の『対日謀略白書』と寺越昭二さんの三男内田美津夫さんの証言を基に紹介したいと思います。
 昭和34(1959)年7月31日(金曜日)、たぶん夜間に入ってからだと思いますが、石川県羽咋市滝町の滝港から男が密入国し、北陸鉄道能登線(現在は廃線)の列車に乗りました。乗車したのは滝駅と思われます。男は終点羽咋で国鉄(現在JR西日本)能登線に乗り換えて金沢方面へ向かう列車に乗車中、石川県警の警察官に職務質問された結果、密入国の疑いで金沢駅に着いたところで逮捕されました(一説には「男は2人組で1人は逃走した」との情報もありますが現時点での詳細は不明のままです)。
 男は趙昌国(当時42歳)といい昭和7(1932)年、16歳の時に父親の友人を頼って来日し、東京都内の学校を卒業した後、店員や工員勤めをしていましたが昭和20年の終戦直後に家族とともに北朝鮮側に帰国したといいます。帰国後は平壌近くの工場で働き、昭和34(1959)年6月頃になって工作員として獲得されたということです。
 この時期、北朝鮮が日本に対して送り込もうとする工作員は、以前日本に住んだことがあり、日本語が堪能な人物を多く選抜していたようで、趙も在日だった経緯を見込まれて工作員に選ばれたのでしょう。ちなみに元在日の工作員が高齢化し、活動能力が低下したことが金正日の時代に「工作員の現地化」、つまり工作員ないし工作員の教育係にするための日本人拉致へとつながった可能性があります。
 工作員として獲得された趙は短い期間でスパイ教育と訓練を受け、(1) 先に日本に潜入している工作員に乱数表や工作資金を直接渡すこと。(2) 大阪市内で連絡用のアジトを確保すること。(3) 石川県下で密入国地点を調査すること、等の任務を与えられ、乱数表、工作資金、偽造の外国人登録証などを持たされ、7月31日(金曜日)、滝港から密入国しました。
 その4年後の昭和38(1963)年5月に起きる寺越事件の被害者の1人、寺越昭二さんの三男・内田美津夫さんの話によれば滅多に売れない大阪行きの切符を買った男を不審に思った駅員が警察に通報したとのことでした。この話はYouTubeの「石川県羽咋市遠山文子さんアベック失踪現場現地了解(R3.6.10)」で内田さんが話しています。最初から7分位のところです。

 ちなみにこのとき内田さんに話を聞いている代表荒木は駅でのやり取りの話は前から聞いていましたが、それが滝事件のこととは知りませんでした。
 ところで『戦後の外事事件』にも『対日謀略白書』にも書かれていない内容ですが「趙昌国が連絡しようとした潜入中の工作員は割り出せたのか?」、「押収した乱数表を基に暗号(放送)は解読できたのか?」が気になるところです。趙昌国自身は、逮捕約4か月後の昭和34(1959)年11月9日、金沢地方裁判所で「出入国管理令違反」、「外国為替及び外国貿易管理法違反」、「関税法違反」、「公文書偽造」の罪で懲役2年の判決を受け、服役後の昭和37(1962)年に北朝鮮に帰国したとされています。
 趙昌国に与えられていた任務の一つに「石川県下の密入国地点の調査」がありましたが、上陸直後に趙は逮捕されたわけですから別の人物が任務を引き継いで石川県内の密入国地点を調査し、後の工作活動に寄与したのでしょうか? 昭和52(1977)年に久米裕さんが拉致された宇出津の舟隠しなどは当初、趙昌国に与えられた任務の延長線上にあるのかもしれません。
 以下は調査会が把握している石川県内で生起した事案と拉致事件、調査会及び警察リストの特定失踪者について時系列で書き出してみました。
・昭和29(1954)年4月22日、特定失踪者・小西能幸さんが穴水町駅で目撃されたのを最後に失踪。 ・工作員・平山正雄こと宋嬉燉が昭和31(1956)年9月1日に金沢市の金石港から密入国。昭和40(1965)年8月2日に警視庁によって「江戸川事件」として検挙される ・昭和32(1957)年6月30日、警察発表・細川昇さん(七尾市国分町)が「会社に行く」と言って、自宅を出た後、失踪。 ・工作員・青山京一こと姜乃坤が昭和32(1957)年10月30日、加賀市小塩町の小塩港(現・橋立港)付近の海岸から偽造の外国人登録証などを携行して密入国。昭和33(1958)年10月30日に「第4次朝鮮スパイ事件」として警視庁によって検挙。 ・昭和34(1959)年7月31日、「滝事件」の趙昌国が羽咋市滝町の滝港から男が密入国し直後に逮捕される。 ・昭和38(1963)年、特定失踪者・坂下喜美夫さんが七尾市作事町の仕事先から自転車で出かけた後、失踪。 ・昭和38(1963)年5月11日、羽咋郡志賀町沖合でメバル漁の操業中だった、寺越昭二さん(36歳)、寺越外雄さん(24歳)、寺越武志さん(13歳)が行方不明となる。死亡とされ戸籍も抹消されたが昭和62(1987)年1月22日家族に北朝鮮にて生存を伝える外雄さんからの手紙が届く(昭二さんはその時点で死亡とされている。外雄さんは後に亡くなり現在武志さんだけが平壌に生存)。 ・昭和42(1967)年9月10日、「学園浸透在日同胞留学生スパイ集団事件(S50.11.22韓国中央情報部)」の徐勝が鳳至郡黒島村(現:輪島市)の海岸から密入国。 ・昭和45(1970)年8月30日、徐勝と弟・徐俊植が黒島村の海岸から密出国。 ・昭和45(1970)年9月11日、徐勝と弟・徐俊植が珠洲市の金剛崎の海岸から密入国。 ・昭和46(1971)年7月31日、「篠原新町事件(S46.7.31警検挙)」で加賀市篠原新町の海岸に3人が乗ったゴムボートが着いたところ、警戒中の警官と格闘になり、金南鮮(当時29歳)が逮捕された。(漁船で清津港を出港して『漂着した』と主張)
※この事件については後日YouTube「現地了解」で解説する予定です。
・昭和47(1972)年4月10日、「鳳至郡門前町猿山岬沖不審船事案」で巡視艇が門前町猿山岬沖約2.8海里(約5km)にて不審船を発見、追跡するも逃走される。 ・昭和48(1973)年7月、特定失踪者・遠山文子さんと非公開男性が羽咋市柴垣の海水浴場に滞在した後、失踪。 ・昭和48(1973)年7月4日、工作員辛光洙が門前町猿山岬の灯台付近の海岸から密入国、その後、大阪・東京等を拠点に在日朝鮮人の獲得、アジト提供、資金調達などの活動を行う。 ・昭和48(1973)年7月10日頃、「中川事件(S49.5.20愛知県警検挙)」の佐藤一郎こと李日学が猿山岬付近の海岸から密入国、その後、北朝鮮から指示された愛知県下居住の在日韓国人に協力を強要しアジトを設置して兵庫・大阪居住の在日韓国人の獲得工作を行う。 ・昭和48(1973)年11月28日、「布施寿町事件(H16.10.12大阪府警検挙)」の在日韓国人・北朝鮮工作員Aがスパイ訓練を受けるため、の能登半島・七海海岸から北朝鮮に向けて密出国、その後、北朝鮮の平壌でスパイ訓練を受け12月26日、同じ七海海岸から密入国。 ・昭和49(1974)年5月、「豊島事件(S52.4.6警視庁検挙)」の申栄萬が鳳至郡能登町の羽根海岸から北朝鮮に向けて密出国。 ・昭和49(1974)年5月23日、「西新井事件(S60.3.1警視庁検挙)」の首謀者となる「朴」ことチェ・スンチョルが配下の補助工作員・江口智こと金錫斗を北朝鮮でのスパイ教育を受けさせるため能都町の羽根海岸から北朝鮮に向けて密出国させる。金錫斗は北朝鮮で約6ヶ月間スパイ訓練を受け11月25日同じ羽根海岸から密入国。その後、チェ・スンチョルの指示の下で活動を行う。 ・昭和50(1975)年5月18日、特定失踪者・明石靖彦さんが珠洲市蛸島町鉢ヶ崎海水浴場付近で失踪。 ・昭和50(1975)年6月14日、「鳳至郡門前町猿山岬沖不審船事案」で、海上保安庁航空機が猿山岬沖約70海里(約130km)にて漁船型の不審船を発見、巡視船艇により追跡するが逃走される。 ・昭和50(1975)年11月、前述豊島事件の申栄萬が羽根海岸から密入国。 ・昭和51(1976)年8月、「西新井事件(S60.3.1警視庁検挙)」の首謀者で「小熊和也」となっていた「朴」ことチェ・スンチョルが同棲中のS子さん家族とともに軽井沢、能登半島を訪れるが、能登半島ではテントを張って1週間も滞在し、S子さんと子供のスナップ写真に併せて海岸の状況を写真やビデオで撮影した。 ・昭和52(1977)年9月19日、工作員・李秋吉が三鷹市役所警備員・久米裕さん(当時52歳)を言葉巧みに誘い出し、鳳至郡宇出津町(現能登町)の通称「船隠し」と呼ばれる小さな入り江から李秋吉の手引きによって北朝鮮に拉致させる。 ・昭和53(1978)年2月26日、非公開・男性が能登半島でダイビング中、海中にボンベ等を残して失踪。 ・昭和54(1979)年9月3日、非公開・女性が羽咋郡の自宅から失踪。 ・昭和56(1981)年6月20日、特定失踪者・安達俊之さん(拉致濃厚)が同僚女性と共に車で石川郡鶴来町の友人宅を出た後、白山町の交差点で目撃されたのを最後に失踪。 ・昭和56(1981)年8月6日、「輪島市舳倉島沖不審船事案」で海上保安庁航空機が輪島市舳倉島沖約173海里(約320km)の大和堆にて漁船型の不審船を発見、巡視船艇・航空機により追跡するが逃走される。 ・昭和58(1983)年9月11日、非公開・女性が金沢市の下宿先から失踪、15日頃、金沢の海上保安庁から「鹿児島から金沢行きのフェリー内に女性のものと思われる荷物だけがあった」旨の連絡。 ・平成9(1997)年3月14日、警察発表・濱井絵里さんが野々市町横宮町地内の勤務先を出た後、失踪。 ・平成11(1999)年3月23日、「能登半島沖不審船事案」で海上自衛隊からの通報により、巡視船艇・航空機が能登半島沖約33海里(約60km)及び44海里(約80km)にて漁船型の不審船2隻を発見、護衛艦が停船命令及び威嚇射撃・爆撃を実施するが逃走される。 ======================================   <調査会役員・特定失踪者家族会三役等の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等> ※事前申込み・参加費等についてはお問い合わせ先にご連絡下さい。
★月刊「正論」8月号(7月1日発行)「苦境の拉致被害者へ日本の声絶やさない」 ・幹事長村尾が寄稿
★7月23日(金)14:00 維新政党・新風シンポジウム(同党主催) ・きゅりあん(品川区立総合区民会館)   大井町駅前(品川区東大井5-18-1) ・調査会代表荒木・幹事三浦が参加 ・問合せ:児玉さん(090-9235-1790)
★8月22日(日) 神戸集会(福岡方式:一般参加とYouTubeライブのハイブリッド開催) ・代表荒木が参加 www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA
★08/28(土) 福島集会(福岡方式:一般参加とYouTubeライブのハイブリッド開催) ・代表荒木・幹事赤塚が参加 www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA
★9月2日(木) 18:30 石川集会(福岡方式:一般参加とYouTubeライブのハイブリッド開催) ・代表荒木・幹事大口が参加 www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA
★9月11日(土)14:00 熱田神宮文化講座(熱田神宮主催) ・熱田神宮文化殿  名鉄神宮前徒歩3分(名古屋市熱田区神宮1-1-1) ・代表荒木が参加 ・問合せ 熱田神宮文化殿(052-671-0852)
★9月18日(土)17:30「草莽志塾」(同塾主催) ・かでる2.7(札幌市中央区北2条西7丁目 011-204-5100)JR札幌駅徒歩13分 ・調査会代表荒木が参加 ・問合せ・出口塾頭(011-737-1798)   ※事前申込みが必要です
★11月13日(土)13:30「拉致問題講演会」(群馬県・救う会群馬他主催) ・群馬県玉村町 ・調査会代表荒木が参加 ・問合せ 群馬県地域福祉推進室(027-226-2518)
★代表荒木のYouTubeチャンネル  毎日5~10分配信しています。RadioTalk・GooglePodcastなどでは音声配信で聞くことができます。 www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA
★FM「オレがやらなきゃ誰がやる!」 毎週木曜日21:00~、「RADIO TXT FM Dramacity 776.fm」(札幌) 他 幹事長村尾がパーソナリティー   現在休止していますがバックナンバーはYouTube Office Movementのチャンネルからはいつでも聴取できます。 www.youtube.com/channel/UCTtzOOIcIOa22_gnLubk8Dg
★インターネット放送 channelAJER(チャンネル アジャ)では代表荒木の担当する番組『救い、守り、創る』を送信しています。会員制ですが1回26分の番組の前半は無料で視聴していただけます。 ajer.jp
★予備役ブルーリボンの会の動画配信「レブラ君とあやしい仲間たち」 ・代表荒木がキャスターをつとめています。 www.youtube.com/channel/UCPrqeCO5CGlj9Imyzz1_XTg ———– ※特定失踪者に関わる報道は地域限定であってもできるだけ多くの方に知らせたいと思います。報道関係の皆様で特集記事掲載や特集番組放送などについて、可能であればメール(代表荒木アドレス宛)にてお知らせ下さい。 ////////////////////////////////////////////////////////// 北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧(令和3年1月22日現在確認分) araki.way-nifty.com/araki/2021/01/post-2e613f.html 着岸漂流一覧と失踪関連地点マップ drive.google.com/open?id=1Nsd5Xf9dqDa6AsYv5_4VspEFmeNh95qS&usp=sharing _________________________________________ 特定失踪者問題調査会ニュース ——————————————————— 〒112-0004東京都文京区後楽2-3-8第6松屋ビル301 Tel03-5684-5058Fax03-5684-5059 email:comjansite2003■chosa-kai.jp ※■を半角の@に置き換えて下さい。 調査会ホームぺージ:http://www.chosa-kai.jp/ YouTube https://www.youtube.com/channel/UCECjVKicFLLut5-qCvIna9A 発行責任者荒木和博(送信を希望されない方、宛先の変更は kumoha551■mac.com宛メールをお送り下さい) ※■を半角の@に置き換えて下さい。 <カンパのご協力をよろしくお願いします> ■特定失踪者問題調査会■ ●クレジットカードでのカンパが可能です。ホームページから入って手続きできます。 www.chosa-kai.jp/net_de_kifu ●郵便振替口座00160-9-583587口座名義:特定失踪者問題調査会 ●銀行口座 みずほ銀行 飯田橋支店 普通預金 2520933 名義 特定失踪者問題調査会 ●労金口座 中央労働金庫 本郷支店 144093 名義 特定失踪者問題調査会代表 荒木和博 (銀行口座のカンパで領収書のご入用な場合はご連絡下さい) ■特定失踪者家族会■ 郵便振替口座 00290-8-104325 特定失踪者家族会 銀行口座 ゆうちょ銀行 普通預金 店番128(イチニハチ) 口座番号4097270 特定失踪者家族会 _____________________________________________________