北朝鮮最大の脅威は…【調査会NEWS3498】(R3.9.8)

【調査会NEWS3498】(R3.9.8) ※このメールには返信しないで下さい。お問い合わせ等は代表荒木のアドレスkumoha551●mac.com(●を半角の@に変える)までお願いします。 ―――――――――――――――――――――― <北朝鮮最大の脅威は…>
副幹事長 杉野正治
 「北朝鮮はいまも日本人拉致を行っているのでしょうか」  調査会ができた平成15(2003)年以降、いつも問いかけられた質問です。たしかに多くの人が抱く疑問ですし、私自身もこの20年絶えず考えてきたことです。 北朝鮮は必要とあらば日本人を拉致するでしょうし、確実にその能力を持っています。したがって「いまも、そして将来にかけて拉致の可能性はある」とお答えするでしょう。  しかし一方では、それが非常に難しくなっているということも言えます。
◆技術の進歩
 拉致に限る話でありませんが、犯罪を摘発する科学捜査は著しく進歩しています。指紋や足跡、音声、画像や映像など些細な痕跡から犯人を特定することもできるし、ネットの犯罪を取り締まる部署も作り、犯罪が起こればこれらを駆使して対処します。当然自衛隊や海上保安庁もこうした技術を向上させ、海上、海中、空の安全を保っています。
 また北朝鮮の工作活動や不法な上陸などが発見されるときの多くは、海岸をふらっと散歩する人や操業中の漁師が、不審な人物や船を見て警察などに通報してきたものです。最近は防犯ビデオもあちこちに設置されていますし、一般人でも写真や動画をスマホなどで気楽に撮れます。風景などを常時ライブ配信している場合だってあります。こうしたところにウッカリ犯行現場や犯人が写り込んでしまうリスクもあります
 しかし北朝鮮も同様に(あるいはそれ以上に)ハイテク化を進めていることも忘れてはいけません。日本のあらゆる場面で技術が進歩していることも承知した上で、そのウラをかいて工作活動を行っている。私たちはハイテク機器をうまく使いこなしていると思っているでしょうが、彼ら(北朝鮮工作員や犯罪を犯そうとする人々)がこれを手にすると、その何倍もの威力を発揮する代物です。
 かつては北朝鮮からの指令も日本で短波放送を受信する「A―3放送」(近年これが復活したと話題になりましたが)などを介していましたし、工作員からの連絡も無線機を使うなどしていました。デジタル化が進んだ近年では暗号のようなものを送ると、これを変換して写真や文書になったりとか(もはや私のような文系人間にはさっぱりついていけません。3Dバーコードみたいなものでしょうか…)、救う会など拉致関係の活動を行う団体のホームページにサイバー攻撃を行ったりするなど、その技術も高度になってきています。つまり工作活動が少なくなったわけではなく、目に見えにくくなっていると考えた方がよさそうです。
◆拉致を抑止する横田滋さんの「決断」
 昨年亡くなった横田めぐみさんの父・滋さんは平成9(1997)年はじめ、北朝鮮に娘が拉致をされている可能性が高いことを告げられると、実名を公表するという決断をしました。名前を出さなければこのまま闇に葬られ、かえってめぐみさんの命が危険になってしまう。家族の反対を押し切り、滋さんは「横田めぐみ」の名前と顔写真を公開したのです。これがもとで他の家族も次々に名前を出し、家族会が結成され、また全国でその救出ための運動が始まりました。これによって政府も変化してきました。
 平成11(1999)年、能登半島沖での不審船事件です。このとき初めて「海上警備行動」が防衛庁によって発令され、海上自衛隊の護衛艦が警告射撃を行いました。明確な「軍事行動」です。また平成13年には奄美沖で北朝鮮の不審船に対し、海保の巡視船が停戦求めたところ、これを無視して逃走を図りました。巡視船は不審船からの銃撃を受けて機銃で応戦しました(これでも十分な対応だとはいい難いですが)。
 それまでだったら不審船と見ると海保の巡視艇が追跡し、相手の船が無事帰航するのを見届けておしまいでした。表沙汰にすらしなかったかもしれません。何しろ「脅威など存在しない」ことにしていたのですから。
 日本の変化に衝撃を受けたのは、他ならぬ北朝鮮自身だったはずです。それまでは「日本の艦艇は撃ってこない」とタカをくくっていました。能登半島沖で海上自衛隊の警告射撃を受けて以来、日本に渡ってくる船はかなり重武装を施すようになったといいます。
 それまで北朝鮮は「何か悪さをしているのは知っているが、触らない方が無難」という存在でした。警察も新聞も、拉致や工作活動の認識があったとしても、「国際問題に発展するから」とか「激しい抗議を受けるから」ということを理由に問題を抹殺してきたのです。拉致を含む工作活動を難しくしているのは、北朝鮮に対する我々日本人の認識の変化という部分が大きいのではないでしょうか。
◆北朝鮮が怖れる日本の国民世論
 平成14(2002)年、小泉純一郎総理大臣(当時)が訪朝し、金正日が日本人拉致を認め、日本人拉致被害者5名が帰国を果たしました。思えばこれも、横田滋さんの決断が、政府、マスコミ、世論を動かし、総理の訪朝を実現させたと言ってもいいでしょう。
 いま横田めぐみの名前はほとんどすべての日本国民が知っています。拉致問題を大きくしただけではない。このことで北朝鮮という国の不正義を皆が知り、さらにはその抑止力となった、非常に大きな決断だったと思います。
 技術がいかに進歩しようとも、工作員の行動を「怪しい」「不審だ」と感じなければ何の役にも立ちません。「北朝鮮の拉致なのではないか」…そう考えることが拉致や工作活動を抑止する最大の武器なのです。北朝鮮にとっては、日本人の世論こそが最も怖れる敵なのではないでしょうか。 ===================================   <調査会役員・特定失踪者家族会三役等の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等> ※事前申込み・参加費等についてはお問い合わせ先にご連絡下さい。 ※記載されている参加者は調査会・特定失踪者家族会役員のみです。
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