0.07回答【調査会NEWS3205】(R02.3.10) 

【調査会NEWS3205】(R02.3.10) 

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<0.07回答>

 荒木和博

 昨年12月14日に特定失踪者家族会今井英輝会長から菅義偉内閣官房長官兼拉致問題担当大臣に提出していた要請文書に対する回答がありました。本日15時から拉致問題対策本部事務局において石川事務局長から今井会長に手渡されました。藤田隆司・植村照光・吉見美保副会長と竹下珠路事務局長が同席。調査会からは私が陪席しました。

 個別の内容についてのコメントはあらためてお知らせしますが、まあ卒直にいってゼロ回答でした。3か月かけてこの回答というのは、まさに「痛恨の極み」、「断腸の思い」ですが、政権がどうであれ諦めるわけにはいかないので引き続き国会審議などを通じて個別具体的な問題を進めていきたいと思います。

 なお、一番最後の13項目目については数字が出てきました。ここは注目すべきところで、唯一回答があったという感じです。13分の1で、「0.07回答」ということでしょうか。ちなみに石川事務局長の顔からは「こんなもんで納得するはずないよなあ」というオーラが感じられました(個人的な感想です)。

   以下は受け取った回答文書にもともとの質問を加えたものです。

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  令和2年3月10日

特定失踪者家族会会長   今井英輝様

   閣官房拉致問題対策本部事務局

 貴会の要請について、菅拉致問題担当大臣の指示を受け、関係省庁と協議した結果を以下のとおり回答します。

(質問1)

 昨年11月12日の要請以来1年余が経過しましたが、その間1人の拉致認定もなされていない理由はなぜでしょうか。当時の回答では「拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えることがないよう、慎重に対応している」とありましたが、具体的に北朝鮮はどのように反論してきたのでしょうか。

<政府回答>

 拉致被害者の認定は、関係府省庁による捜査・調査の結果を基に、北朝鮮当局によって実行された「拉致行為の有無」を判断基準として行うこととしています。拉致の可能性を排除できない事案について、関係府省庁が連携して鋭意捜査・調査をしているところですが、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていません。政府としては、今後も事案の真相解明に向けて全力を挙げて取り組んでいく考えであり、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には、速やかに拉致認定をしてまいります。

  なお、「具体的に北朝鮮はどのように反論してきたのでしょうか」という御質問ですが、北朝鮮とのやりとりについては、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。

  

(質問2)

 政府は「認定の有無にかかわらず」と繰り返しますが、現実に総理が会うのは認定拉致被害者ばかりであり、何度も要請している特定失踪者家族との面会は一度も実現していません。これは何故ですか。

<政府回答>政府としては、拉致被害者として認定された17名以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々がいらっしゃると認識しており、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしているところです。

    拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えないよう、慎重に対応しているところであり、拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に対しては、まずは拉致問題担当大臣がお会いしてお話をお伺いさせていただきたいと考えております。

    今後とも、情報提供や要望の聴取など、御家族の気持ちに寄り添い丁寧な対応に努めてまいるとともに、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け全力を尽くしてまいります。

(質問3)

 昨年の要請の折政府の広報物で「1970年代から1980年代」と拉致を限定するべきでないと提案し、「いただいたご提案も含め、(中略)不断に検討してまいります」との回答を戴きましたが改善はされているでしょうか。

<政府回答>

 拉致問題の解決には、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが重要です。政府としては、拉致問題に関する啓発活動にも力を入れて取り組んでおります。

    拉致問題に関する啓発活動を行うに当たっては、政府認定拉致被害者だけでなく、拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々についても説明を行い、国民の関心を喚起するよう努めております。例えば、平成30年及び令和元年に開催された北朝鮮人権侵害問題啓発週間政府主催国際シンポジウムにて特定失踪者家族会から御登壇いただき、当事者の「生の声」を訴えていただくなど、様々な取組を進めてきております。引き続き、拉致問題の一日も早い解決に向け、広報・啓発活動のあり方について、これからも不断に検討してまいります。

(質問4)

 昨年の要請の「自衛隊への任務付与について」への回答で「(自衛隊による)拉致被害者の救出のために何ができるかについて、不断の検討を継続して参ります」とありましたが、1年経ってその結果はどのようなものだったでしょうか。

<政府回答>先般の平和安全法制の整備により、新たに、自衛隊による在外邦人等の救出や警護などの保護措置が実施できるようになったため、自衛隊としては、保護措置を含め各種の訓練についても継続的に実施しており、また、派遣命令発出後、速やかに部隊を派遣できるよう平素から所要の部隊等を指定して待機の態勢をとっています。

 他方、自衛隊による救出活動には、国際法と我が国憲法上の制約があることを踏まえれば、自衛隊の活用には限界があることは御回答したとおりでありますが、拉致被害者の救出のために何ができるかについて、政府全体として、引き続き、不断の検討を続けてまいる所存です。

(質問5)

 「しおかぜ」については現在中波放送は頓挫した状態ですが、実現に向けて政府のご協力もお願い致します。また、政府の「ふるさとの風」も本来拉致被害者に向けての放送であり、緊急時の対応も含め日本国内から送信すべきものと考えます。ぜひその実現をお願いする次第です。

<政府回答>

 第三国から送信している北朝鮮向け中波放送の送信が中止している状況については、政府として事実関係の把握や関係者への働きかけを行うなど適切に対応しているところであり、今後とも関連状況を注視してまいります。

   また、政府が運営する北朝鮮向けラジオ放送「ふるさとの風」及び「日本の風」の送信拠点については、平成19年の放送開始以来、北朝鮮に拉致され今なお北朝鮮に囚われている日本人の皆さんに確実に放送をお届けできるようにするとの観点から選定してきているところであり、引き続き適切に対応してまいります。

(質問6)

 昨年の要請で北朝鮮漂着木造船について横浜での展示を求めたところ、不可能であるとの回答をいただきました。しかしこの広い首都圏で展示できないはずはなく、最近でも相次いで漂着していることを考えると国民への注意喚起と北朝鮮に対する関心を高めるためにも木造船の展示は必要であると思います。ぜひ早急な実施をお願いする次第です。

<政府回答>

 前回御説明したとおり、漂着木造船の展示については、漂着した木造船は破損・劣化が激しく、展示に耐えられるものは殆んどないのが実情であり、地方自治体により処分が行われています。仮に展示に耐え得る木造船があったとしても、劣化を防ぐために屋内の展示スペースが必要となりますが、御要望のなかで挙げられている首都圏を含め、政府としてそのようなスペースは有しておらず、木造船を展示することは困難です。また、工作活動に関わったという証拠が認められていない木造船の展示は、当該木造船が工作船であるかのような誤解を国民に与えるおそれがあり、適切ではないと考えております。

   一方、昨年3月に海上保安資料館横浜館に拉致問題に関するパネルを設置し、さらに、12月には、拉致問題解決を求める署名に関するタペストリー等を展示するなど、政府関係の施設を活用し、拉致問題に対する国民の皆様の理解促進に努めているところです。

  

(質問7)

 昨年の要請への回答の中で「全ての拉致被害者の方々の生存を前提に(中略)情報収集を行っております」とあったが、前提はそうであっても時期的に考えたとき拉致される途中ないし北朝鮮で死亡した人がいることは否定できません。死亡が確認された場合に政府としてはどのように対応するのか明らかにしていただきたくお願いします。

<政府回答>

 政府では、拉致被害者の方々の生存を前提に平素より様々な情報収集を行っているところであり、仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきます。いずれにせよ、引き続き認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び一日も早い帰国実現に向け全力を尽くしてまいります。

  

(質問8)

 山本美保さんについて、政府は拉致の可能性の排除できない失踪者に入れていながら、山梨県警の発表では山形県遊佐町に漂着した身元不明遺体が山本美保さんであるとしています。ということは山本美保さんが拉致される途中で殺害された可能性があると考えているのでしょうか。

<政府回答>

 山本美保さんの事案については、警察において、これまでの捜査結果などから昭和59年当時山形県で発見された御遺体が山本美保さんと同一人物であったと判断しておりますが、失踪から死亡に至る経緯が現在も不明であることから、拉致の可能性を含め、事件、事故等あらゆる可能性を念頭に捜査・調査を継続しております。

(質問9)

 過日日本国内で死亡していたと発表された山形県出身の特定失踪者齋藤武さんについて、死亡から発表まで1年半近くかかった理由はなんでしょうか。また、同様の失踪者は他にもいるものと思われますが、現時点で特定失踪者のうち既に発見されながら発表されていない人は何人いるのでしょうか。

<政府回答>

 御指摘の事案を含め、拉致の可能性を排除できない方を発見した場合には、必要な捜査・調査を行うこととしております。

   また、その結果、拉致の可能性を排除するとの判断に至った場合には、速やかに発表することとしております。

(質問10)

 生島孝子さんと思われる女性を目撃した呉吉男氏から政府は聞き取りを行いましたか。行ったとすれば呉氏の証言に対する評価はどのようなものだったのでしょうか。(質問11)

 藤田進さん(川口)の北朝鮮から出た2枚の写真について政府としてそれが本人の写真であると判断しているのでしょうか。

(質問12)

 今井裕さんの生徒手帳から見つかった地図について、警察ではこれが拉致に関わる情報との認識を持ったと考えてよろしいでしょうか。

<10、11、12まとめて政府回答>

    政府としては、拉致問題の解決に向けて必要な捜査・調査を行っているところですが、その具体的な内容については、これを明らかにすることにより、今後の捜査・調査に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。

(質問13)

 在日朝鮮人でも祖国訪問などで北朝鮮に渡って戻れなくなった、事実上の拉致被害者が相当数いると言われます。この数は明らかではないものの、再入国許可を受けて出国した在日朝鮮人の数と、その後再入国した人の数の差である程度は推測できるものと思われます。この数を明らかにしていただくことはできないでしょうか。

<政府回答>

 出入国在留管理庁において、毎年1回、国籍・地域別の再入国許可を得ている入・出国外国人の人数等を集計し、出入国管理統計年報として公表しています。

 平成30年においては、渡航先が北朝鮮であるかにかかわらず、再入国許可を受けて出国した朝鮮籍の者は、2,379人であり、再入国許可により入国した朝鮮籍の者は、2,363人となっています。

 なお、御質問のような再入国許可を受けて入・出国した人数の差を根拠として、「事実上の拉致被害者」の数を推測することは、適当ではないと考えております。

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北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧(令和2年2月25日現在確認分)

araki.way-nifty.com/araki/2020/02/post-e4027d.html

着岸漂流一覧と失踪関連地点マップ

drive.google.com/open?id=1Nsd5Xf9dqDa6AsYv5_4VspEFmeNh95qS&usp=sharing

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・問合せ 三浦(miurakotarou@hotmail.com)ないし調査会

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