【調査会NEWS3385】(R03.1.18) ※このメールには返信しないで下さい。お問い合わせ等は代表荒木のアドレスkumoha551●mac.com(●を半角の@に変える)までお願いします。 ―――――――――――――――――――――― <李ミンボクさんのメッセージ>
荒木和博
調査会のバルーンプロジェクトでお世話になっている韓国の李ミンボクさんから以下のようなメールが届きました。関係者に送っているもので、日本国内でも他に受信された人もおられると思いますが、ご本人の了解を得て訳載します。なお、現在は文中にもある韓国の対北ビラ撒布を禁止する法律によってビラを飛ばすことはできなくなっています。 ——————————————- 北朝鮮問題、この道しかない
私は北朝鮮で数少ない軍服務が除外された教育体系を経たものだが、太極旗(韓国国旗)を見たことはなかった。始めて見たのは33歳のとき、韓国からのビラでだった。脱北という人生革命と使命感もビラを通じてだった。
「統一されないのは憎しみだが主な根拠は朝鮮戦争だ。北進して瓦礫の山を作り数百万を殺した米国と傀儡が不倶戴天の敵である理由だ」と北朝鮮ではされてきた。しかし正反対の事実をビラで知り驚いて脱北を決心、これを知らせて平和統一に貢献したかった。
これが本心であることは中国・ロシアを経て韓国入国後対北情報提供文献で証明、ビラは原子爆弾より威力のある効果をもたらすと強調した。これが認められて対北ビラ担当部署でも働くことになったが英語ができないという既得権の妨害で霧散した(筆者はロシア語のみ学んだ)。
さらに残念なのは政府自身が対北ビラを中止、2000年初め頂上会談の条件として提示した金正日の要求に応じたものだ。20年経ってみると残ったのはノーベル平和賞しかなかったのではないか。目、耳を塞がれた同胞に対する一抹の同情もなかったようだ。見て聞くという根源的な人権を政治取引の対象にした下種(げす)の政権に感じられる。
官権がこうだから義兵として立ち上がるしかなかった。狂ったように5年間没入して研究した末民間人もできるように開発(特許)、対北ビラの元祖になり真実を送ったから偽神格者は死ぬ思いだったろう。数百回の脅迫と暗殺未遂、高射機銃射撃、南北事務所爆破、ビラ反対法を作れという要求。
「対北ビラは全く無益」だと回答した人間が情報機関のトップに就任する世の中。「多少核兵器に使用されても」ドルを渡す協力者だというのに驚愕する。彼らの相思相愛で本当に対北ビラ反対法が通過した。歴代対南工作機関もできなかった、金兄妹だけ喜ぶ「快挙」である。
この反対法は表現の自由という壮大な憲法以前に初歩的な常識と事実に反する。まず南北間合意の約束を守るためだというが二つ問題点がある。
1、政府間の約束を民間も無条件で守れと言うがこれは北朝鮮のような独裁国家でこそ可能なことだ。
2、南北合意はあまりにも不公平、インターネットのない北朝鮮はインターネット最先進国である韓国に対して一方的に心理戦を今も行っている。均衡を保つ合意ならビラとともにインターネット条項も置かなければならない。
対北ビラ反対法の名分は国民の生命と安全だが、これには六つの問題がある。
1、表現の自由を標榜する国民保護ではなく、かえって加害する北朝鮮側に立って犯罪者にする。これでも国家なのか。
2、真の対北ビラは国民の生命、安全に問題はない。対北ビラは二つの形態、即ち公開と非公開がある。対北ビラはレーダー、熱、音、目で追跡できない完璧なステルス器具であって非公開的にやれば誰も知らず害を及ぼさない。しかし公開と非公開を区分しないで一つの棍棒で叩く。
3、公開的対北ビラ行為は「対国民詐欺劇」であり(2014年河泰慶議員が公表)無資格者、これを妨げるのは警察職務執行法とガス安全法で十分であるにも関わらず職務遺棄しておいてその責任を民間に転嫁する。既存法でも社会不安を惹起する公開的対北ビラをいくらでも防ぐことはできる。
4、ビラ反対法強硬のバックには67%の反対世論だというが非常に間違った世論調査だ。即ち公開的対北ビラ条項のみ入れて問題にならない非公開的ビラ条項は入れない世論調査であるためだ。
5、第3国を通じる対北ビラまで処罰する条項は近接住民の生命、安全とは関係なく、したがって無理な弁明であることを証明している。 6、対北ビラを法にない「災難」として宣布し(罪刑法定主義違反)対北ビラ装備回収、塵払い式捜査をする。
状況がこうであるにも関わらず対北ビラ反対法を強硬する理由は何か。北朝鮮当局に会って交流し解決するとのことだ。しかし冷静な歴史はみせてくれる。そうやって変わるものはないと。
日帝打倒、独立、米帝打倒(朝鮮戦争)で国を守った神格者の北朝鮮、これは閉鎖という培養器の中だけに存在する。北朝鮮の核もこのための最後の手段である。それを放棄してこいというのは死ねということなのにそうするだろうか。
北朝鮮問題、行く道はこれしかない。これは20年前から黄長燁・元労働党書記が教えてくれた。「北朝鮮の属性は中国のような改革開放には進めない。北朝鮮の人々を覚醒させるしか近道はない」北朝鮮が戻れない橋を渡ったと、誰もが考えた2000年金大中・金正日首脳会談共同宣言の中での言葉だ。北朝鮮の精神的支柱を作った黄長燁の言葉も聞かない世の中だ。しかし聞かなければならない。そうしなければ今見ているように遠ざかるだけだ。
ラジオ、インターネットが許されない唯一の閉鎖と神政が北朝鮮の特徴で有り普遍の属性であることを心に刻んで。
元北朝鮮科学院研究員 現社団法人北朝鮮同胞直接救援運動・対北風船団長 李ミンボク (1990年脱北、中国、ロシアを経て1995年韓国入国)
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